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発注したあと、自分たちは何をするのか ── 8週間で発注側に発生する作業

2026.09.30 公開

「丸投げできますか」と、よく聞かれます。

正直に言うと、半分はできて、半分はできません。手を動かす作業はこちらで引き取れます。ただ、判断は引き取れません。現場で実際に何が起きているかを知っているのは、発注側だけだからです。

この記事では、契約してから初回リリースまでの8週間で、発注側にどれくらいの作業が発生するかを書きます。開発側がその8週間で何をしているかは2ヶ月で作れるもの、作れないものに週ごとに開けて書いたので、工程表は作り直しません。自分たちの手元に何が降ってくるか、の話だけにします。

8週間で発生する時間の、目安

先に表を出します。発注側へお願いしている作業と時間です。数字は目安で、業務の複雑さや関わる部署の数によって前後します。

時期発注側の作業時間の目安出てほしい人
W1現状のヒアリングに答える。使っている帳票やExcelを渡す3〜5時間業務担当者+決裁者
W2画面構成のラフを見て、抜けている業務を指摘する2〜3時間業務担当者
W3〜W6週1回、動く画面を見て方向が合っているか確認する週1時間(計4時間)担当者1人
W7実際のデータを入れて触る。おかしいところを書き出す3〜5時間現場2〜3人
W8使い方の説明を受ける。運用の段取りを決める1〜2時間使う人全員
合計──15〜20時間──
8週間で発注側に発生する作業時間の目安を4つの時期に分けた図。W1からW2が5〜8時間、W3からW6が週1時間、W7からW8が3〜5時間、リリース後は月1時間から
8週間の合計で15〜20時間。時間の目安で、業務の複雑さによって前後します。

8週間で15〜20時間。ならすと週2時間ちょっとです。通常の業務を止めるほどではありませんが、ゼロにもなりません。

負担が最初の2週間に寄っている理由

表を見ると分かるとおり、W1とW2に半分近くが集まっています。これは意図的です。

作り始めてから「実はこういう例外があって」と言われると、作ったものを壊して作り直すことになります。8週間しかないので、その余裕はありません。最初に時間をいただいて、出せるだけ出してもらいます。

逆にW3からW6は週1時間まで落ちます。この4週間は画面が動く状態で出てくるので、見て「違う」と言うだけで済むからです。資料を読む必要がありません。実物が出てきます。

ここが厄介で、W1とW2を軽く済ませると、W5あたりで跳ね返ってきます。最初の2週間を短くしてほしいという要望は、たいてい後半のやり直しに化けます。

発注側にしか答えられない質問

どれだけ経験のある開発者でも、御社の現場だけは知りません。実際の打ち合わせで聞いているのは、こういう質問です。

  • この承認、規程上は課長ですが、実際に押しているのは誰ですか
  • 締め日を過ぎてから修正依頼が来たとき、いまはどうしていますか
  • この帳票の様式は、社内で決めたものですか。取引先から指定されたものですか
  • 単価が3種類あるようですが、どれを使うかは何を見て決めていますか
  • Excelの集計を、誰かが毎月手で直している箇所はありますか

どれも、社外の人間が資料を読んで推測できる範囲を超えています。特に最後のものは、ヒアリングの場で出てこないことが多いです。「そういえば、あれは毎月手で直してました」が出てくるのは、たいていW2の画面ラフを見ているときです。

帳票の様式が取引先の指定かどうかも、設計に直結します。社内で決めたものなら整理できます。取引先の指定なら、1ミリも変えられません。この一問で画面の自由度が変わります。

ここを外すと、動くけれど現場で使われないシステムができあがります。相談前に整理しておくと楽になる項目は開発会社に相談する前に、決めておくと話が早い3つのことにまとめました。

担当者を1人、決めてください

お願いしていることは、ほぼこれだけです。窓口を1人にしてください。

理由は単純で、要望が2方向から来ると開発が止まるからです。営業は「一覧に取引先名を出したい」と言い、経理は「件数が増えるので出さないでほしい」と言う。どちらも正しい要望です。ただ、私たちには決められません。社内で決めてもらうまで作業が待ちになります。

1人に決めると、その人のところで調整が済みます。調整に時間がかかっても、こちらは別の画面を進められます。判断の詰まりが1箇所に集まるだけで、8週間の進み方はかなり変わります。

専任である必要はありません。週1時間、決まった曜日に時間が取れる方で十分です。むしろ現場を知らない管理職より、毎日その業務を触っている方のほうが向いています。決裁が要る判断だけ、その方から上に上げてもらう形が一番早いです。

その人が途中でいなくなると、何が起きるか

異動、退職、長期の休み。8週間のうちにどれかが起きる確率は、思っているより低くありません。

一番困るのは、決まったことの理由が消えることです。「この項目は必須にしない」と決まっていても、なぜそう決めたかを知っているのはその人だけ。後任の方が見ると「必須にすべきでは」となり、確認のやり直しが始まります。1回のやり直しで1週間が飛ぶこともあります。

8週間のうちの、1週間です。

なので打ち合わせで決まったことは、議事メモと画面ラフの両方に残して共有しています。メモは「決めたこと」と「そう決めた理由」を分けて書きます。あとで効いてくるのは理由のほうです。異動の可能性が先に分かっているなら、W3あたりから次の方にも週次の確認へ入っていただければ、引き継ぎはほぼ自動で終わります。W7での交代が一番つらいパターンです。

作業を減らすために、こちらでやっていること

まず、資料を作って読んでもらう形をやめました。分厚い要件定義書を送って「確認してください」と言うと、読むだけで数時間かかります。代わりに画面ラフを出します。絵なら見た瞬間に違和感が出ます。

次に、打ち合わせを週1回30分に固定しています。伸ばさないよう、こちらから論点を3つに絞って持っていきます。「今週決めていただきたいのはこの3つです」から始めます。

そして分業しません。打ち合わせに出ている人間が、そのまま設計して開発します。伝言が発生しないので、同じ説明を二度していただく必要がありません。週ごとの動き方は進め方のページに載せています。

忙しい時期と重なるなら、先に言ってください

決算期、繁忙期、棚卸し。週1時間すら取れない期間は、どの会社にもあります。

先に言っていただければ、その週の確認を別の週に寄せます。W3からW6のうち1週が空いても、作る側は進められます。困るのは、何も言われないまま返信が止まることです。こちらは方向を間違えたのかと考えて手を止めてしまいます。

開始時期をずらす相談も普通にあります。2ヶ月という期間は固定ですが、いつ始めるかは動かせます。繁忙期をまたぐくらいなら、1ヶ月遅らせたほうが結果は良くなります。

初回のお打ち合わせは60分、そこから3営業日以内に画面構成のラフと見積もりをお出しします。ここまで費用はいただきません。そのとき、御社側で必要になる時間の見込みもお伝えします。時間が取れそうにないと判断されたら、その時点でやめていただいて構いません。まずは現状を聞かせてください。

よくあるご質問

発注したあと、自社側にどれくらい時間が必要ですか?

8週間の合計で15〜20時間程度を目安にしています。内訳は、最初の2週間に5〜8時間、開発期間の4週間は週1時間の確認、最後の2週間に動作確認と説明で3〜5時間です。ただしこれは目安で、現場の運用が複雑な場合や、関わる部署が多い場合は増えます。初回のお打ち合わせで、御社側の想定時間もあわせてお伝えします。

担当者を専任にする必要はありますか?

専任は不要です。週に1時間、決まった曜日に時間を取っていただければ進みます。ただし窓口は1人に決めてください。複数人が別々に要望を出すと、どちらを採るかの判断が止まり、その分だけ開発が待ちになります。決裁が必要な判断だけ、その方から上に上げていただく形が一番早いです。

担当者が異動や退職でいなくなったら、どうなりますか?

決まっていたはずの仕様の根拠が分からなくなり、確認のやり直しが発生します。そのため私たちは、打ち合わせで決まったことを議事メモと画面ラフの両方に残し、御社側にも共有しています。引き継ぎの可能性があらかじめ分かっている場合は、早い段階で次の方にも週次の確認へ入っていただくようお願いしています。

作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。

初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。

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「発注の準備をする」の記事はガイドの一覧にまとめています。全25本を3つのテーマに分けて並べました。