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通知をどこまで作るか ── メール・LINE・アプリ通知の使い分け

2026.10.26 公開

「承認待ちが来たら、LINEに通知が来るようにできますか」。業務システムの打ち合わせで、かなりの確率で出てくる質問です。新しい注文が入ったら、期限の前日になったら、差し戻されたら。知らせてほしい場面は、話しているうちにどんどん増えていきます。

作れるかどうかで言えば、どれも作れます。ただ、通知は手段を増やすほど、数を増やすほど、読まれなくなります。この記事では、どの知らせをどの手段で届けるか、最初の8週間でどこまで作るかの考え方を書きます。

通知は、多いほど読まれなくなる

よくある失敗から書きます。登録、更新、コメント、状態の変更。システムで何かが起きるたびにメールを送る設定にした結果、担当者には1日に40通の通知が届く。最初の週は読みますが、2週目にはメールソフトの振り分けで専用のフォルダに入るようになり、3週目には誰も開かなくなります。本当に大事な「今日が期限です」も、そのフォルダの中に埋もれます。

通知を決めるときは、手段より先に、知らせを2つに分けます。すぐに動かないと困るものと、次にシステムを開いたときに分かれば足りるものです。新しい注文が入って当日出荷が要るなら前者、承認待ちが3件たまっているなら、たいていは後者です。実際に分けてみると、後者のほうが多いというケースがほとんどです。

4つの手段と、それぞれに要るもの

通知の4つの手段を、届く先と必要になるものの行で並べた図。メールと画面内のお知らせは最初から、LINEとプッシュ通知は必要が分かってから
上の2つは追加の契約や配布の仕組みなしで始められます。下の2つは、届く先を用意するところから作業が発生します。
手段届く先新たに要るもの向いている知らせ
メール登録したアドレスなし(標準の範囲)承認の依頼、期限の前日
画面内のお知らせシステムを開いた人なし承認待ちの件数、最近の更新
LINE友だち追加した人公式アカウント、アカウントの紐付け社外の顧客への予約確認
プッシュ通知アプリを入れた端末ストア配布のアプリ、通知の許可受けた瞬間に動く業務

画面内のお知らせは、通知というより「開いたときに目に入る場所」です。ログインした直後の画面に「承認待ち 3件」「期限が近い案件 2件」と出ていれば、毎朝システムを開く人にとっては、メールより確実に届きます。

最初は、メールと画面内のお知らせに絞る

8週間で作る範囲では、この2つに絞ることをおすすめしています。どちらも追加の契約や配布の仕組みが要らず、通知メールは私たちの標準の範囲に含めています。在庫が発注点を下回ったら担当者にメールを送る、という程度なら、通知の機能だけで済みます。在庫管理システムの開発費用の想定例でも、そこで止めています。

メールの数を抑える工夫もあります。1件ごとに送るのをやめて、朝に1通「昨日からの承認待ちはこの5件です」とまとめる。承認を依頼された本人にだけ送り、部署全員には送らない。誰に、何を、何回送るかを決めるだけで、読まれる通知になります。

使い始めてから「メールでは気づくのが遅くて困る」場面がはっきりしたら、そこで初めて別の手段を足します。先に全部の手段を作っておくと、どれも中途半端に使われて、どれを止めていいかも分からなくなります。

LINEを足すと、何が増えるか

LINEで通知を送るには、LINE公式アカウントが要ります。これは発注側の名義で開設していただくものです。そのうえで、利用者に公式アカウントを友だち追加してもらい、その人のLINEとシステム上のアカウントを紐付けます。この紐付けのために、画面が1枚と、利用者への案内が増えます。

送る通数によって公式アカウントの料金プランが変わる点も、先に見ておく必要があります。料金や条件は変わることがあるので、LINEの公式の案内で確認してください。もうひとつ、利用者がブロックすると届かなくなります。届かなかったときにメールで送り直すのか、諦めるのかも決めておきます。

向いているのは、社外の顧客に予約の確認や前日のお知らせを送る用途です。一般の顧客には、メールよりLINEのほうが目に入りやすいというケースが多いからです。逆に社内の通知は、業務用のメールやすでに使っているチャットで足りることが多いです。社員の私物のLINEに業務の通知を送ってよいかは、社内の決まりとして先に確かめておいてください。

プッシュ通知が要るのは、通知で業務が始まるとき

スマホの画面にプッシュ通知を確実に出すには、ストア配布のアプリが必要です。Webで作ったものをホーム画面に置く形でも通知を出せる環境はありますが、端末やOSの版によって差があります。

アプリにすると、開発者アカウントの登録とストアの審査が加わり、公開までの期間が延びます。発注側で用意するものはストア配布アプリを公開するまでに、発注側が用意するものに書きました。

それでもアプリが必要になるのは、通知そのものが業務の起点になっている場合です。緊急の修理依頼が入った瞬間に担当者の端末が鳴り、その場で向かう。こういう業務なら、通知は機能の中心です。判断の分かれ目はスマホアプリで作るか、Webで作るかの条件1に書いたとおりで、「今すぐ気づかないと困るのか、1時間後で構わないのか」で分かれます。

通知を決めるときに、こちらから聞くこと

打ち合わせでは、通知の手段より先に3つ聞いています。

1つ目は、その知らせが届かなかったら何が起きるか。誰も困らないなら、通知は要らず、画面に出しておけば済みます。2つ目は、誰が受け取るか。担当者が1人なのか、部署の誰かが見ればいいのか、担当者が休みの日はどうするのか。3つ目は、反応がなかったときにもう一度送るか。期限を過ぎても承認されていない、という場面で上長にも送るのかどうかです。

この3つで、通知はかなり絞れます。注意したいのは、条件によって送るタイミングが変わり、宛先も動的に決まるような通知です。そこまでいくと設計が別物になるので、仕様変更が追加費用になる線引きで書いたとおり、見積もりを出し直す対象になります。

通知の文面、送る時刻、宛先の変更は、使い始めてから何度も出てきます。この程度の調整は、リリース後の月額に含まれる改善の稼働(月20時間まで)で対応できることが多いので、最初から完璧に決めなくて構いません。まず少なく送って、足りない場面が見えてから足してください。

よくあるご質問

業務システムの通知は、何で送るのがよいですか?

最初はメールと、システムを開いたときに出る画面内のお知らせの2つで始めることをおすすめしています。どちらも追加の契約や配布の仕組みが要らず、ニカゲツでは通知メールを標準の範囲に含めています。LINEやアプリのプッシュ通知は、使い始めてから「メールでは気づくのが遅くて困る」場面がはっきりした時点で足すほうが、作り直しが少なく済みます。

LINEに通知を送るシステムは作れますか?

作れます。ただ、LINE公式アカウントの開設が発注側の名義で必要になり、利用者に友だち追加してもらったうえで、その人のLINEとシステム上のアカウントを紐付ける画面が加わります。送る通数によって公式アカウントの料金プランが変わる点や、ブロックされると届かない点もあります。社外の顧客に予約の確認を送るような用途では向いていますが、社内の通知ならメールで足りることが多いです。

スマホにプッシュ通知を出すには、アプリが必要ですか?

確実に届けたいなら、ストア配布のアプリが必要です。Webで作ったものをホーム画面に置く形でも通知を出せる環境はありますが、端末やOSの版によって差があります。アプリにすると、開発者アカウントの登録とストアの審査が加わり、公開までの期間が延びます。通知を受けた瞬間に担当者が動く業務でなければ、メールで足りるかを先に確かめるほうが早いです。

作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。

初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。

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「範囲と進め方を決める」の記事はガイドの一覧にまとめています。全42本を3つのテーマに分けて並べました。