在庫管理システムの開発費用 ── 入荷・出荷・棚卸の7画面と、バーコードなしで始める判断
2026.10.13 公開
「Excelの台帳と、倉庫にある実数が合わないんです」。在庫の相談は、たいていこの言葉から始まります。月末の棚卸で毎回差が出て、原因を探すのに半日かかる。営業が「在庫ありますか」と聞くたびに、事務が倉庫に電話する。
こういう状態を画面にするといくらかかるか。予約システムの開発費用と同じ型で、画面を数えるところから書きます。
まず、いまの台帳がどう回っているか
在庫管理をExcelでやっている会社の回り方は、だいたい似ています。倉庫に紙の入出庫伝票があり、担当者が夕方にまとめてExcelの台帳へ打ち込む。台帳には品目ごとの現在数が入っていて、月末に実数を数えて差を直す。
台帳が合わなくなる理由は、伝票から台帳への転記が1日遅れることと、出荷した本人が台帳を触らないことです。誰が減らしたのかが残らないので、差が出ても原因にたどり着けません。Excelのままで踏みとどまれる段階と、もう越えている段階の見分け方はExcelでの管理は、どこまでが限界かに書いたので、ここでは繰り返しません。
システムにする目的は、集計を速くすることではありません。減らした本人が、減らしたその場で記録する。それだけです。画面はその1点のために組みます。
画面を数える(架空の想定例)
ここから先は架空の想定例です。従業員30人ほどの卸売の会社で、品目が400点、倉庫は1か所、入出庫を記録するのは倉庫の2人、台帳を見るのは事務と営業、とします。
| 画面 | 誰が使うか | やること | |
|---|---|---|---|
| 01 | ログイン | 全員 | 役割ごとに見える画面を変える |
| 02 | 品目マスタ | 管理者 | 品目コード、品名、単位、発注点の登録 |
| 03 | 在庫一覧 | 事務・営業 | 品目ごとの現在数を検索して見る |
| 04 | 入荷登録 | 倉庫 | 届いた品目と数を、その場でスマホから入れる |
| 05 | 出荷登録 | 倉庫 | 出した品目と数と出荷先を入れる |
| 06 | 棚卸 | 倉庫・事務 | 実数を入力して、台帳との差を確定する |
| 07 | 入出庫の履歴・CSV出力 | 事務・管理者 | いつ誰が何を動かしたかを追う。会計用に出す |
7画面です。ライトプラン(初期50万円・税別、月額20万円)の範囲に収まります。
発注点の警告は、画面としては数えていません。品目マスタに発注点の数を持たせて、在庫がそれを下回ったときに担当者へメールで知らせるだけなので、通知の機能で済みます。下回った品目の一覧が欲しければ、在庫一覧の絞り込みで出ます。
数えてみると、倉庫の人が触るのは入荷登録と出荷登録の2枚だけです。この2枚がスマホで片手で入れられるかどうかで、台帳が合うようになるかが決まります。残りの5枚は事務所の画面で、ここは多少ごちゃついていても業務は回ります。
バーコードリーダーは、最初から要るか
在庫の相談では、ほぼ必ずバーコードの話が出ます。「読み取りで入力できないと現場が入れてくれない」という心配です。
ただ、私たちは最初の8週間ではバーコードを入れない構成を提案します。理由は2つあります。
1つは、品目コードを選ぶだけの手入力でも、紙の伝票からExcelに転記するより速いからです。入荷登録の画面で品目名の頭文字を打てば候補が出て、数を入れて保存する。品目が400点で1日の入出庫が数十件なら、これで回るケースが多い。ここは会社によって違うので断定はできませんが、まず手入力で1ヶ月使って、遅いと分かってから足しても遅くありません。
もう1つは、バーコードを入れるには、そもそも品物にバーコードが貼ってある必要があるからです。仕入先の商品にJANコードが付いていれば読めますが、自社で小分けした袋や、加工した部材には付いていません。ラベルを印刷して貼る運用を作るところから始まります。
足すときの作りは、実はそれほど大きくありません。USB接続のリーダーは、読み取った文字をキーボードで打ったのと同じ形で送ってくるので、品目コードの入力欄があればそのまま動きます。スマホのカメラで読む方式も選べます。月額の改善の中で対応できる範囲だと考えています。機器代は別です。
先にバーコード前提で画面を組むと、ラベルの運用が固まる前に画面が固まってしまいます。手入力で始めて、現場の動きを見てから足す。その順番のほうが収まりがいいと思っています。
棚卸の画面が、いちばん効く
7画面の中で、私たちがいちばん効くと考えているのは棚卸の画面です。
Excelの棚卸は、数えた実数を台帳に上書きして終わりです。差がいくつあったかは、上書きした瞬間に消えます。棚卸の画面では、実数を入れると台帳との差が品目ごとに残り、いつの棚卸で、どの品目が、いくつずれたかが履歴として溜まります。
3回分の履歴が溜まると、毎回ずれる品目が見えてきます。ずれる原因は、たいていシステムではなく置き場所や運用にあります。
既存の在庫管理SaaSを借りる場合
在庫管理のSaaSはいくつもあります。品目と数を管理して、入出庫を記録して、発注点で知らせる。ここまでなら、借りたほうが安く、早いです。
自社で作る判断になるのは、次のどれかに当てはまるときです。
入出庫が、別の業務と1つの流れになっている。受注が入ったら引き当てて、出荷したら請求に進む。現場から戻った部材をそのまま在庫に戻す。こういう流れがあると、在庫だけを別のサービスに切り出した瞬間に、間をつなぐ転記が復活します。
数える単位が自社特有。ロット、賞味期限、シリアル番号、長さや重さの端数。自社の単位に画面を合わせようとすると、設定の迷路に入ることが多いです。
取引先が在庫を見る。「いま何個ありますか」の電話をなくすために、取引先に在庫一覧を見せたい。この場合は取引先向けの画面と権限が要るので、社内向けのSaaSでは届かないことが多いです。
どれにも当てはまらないなら、私たちに頼まなくていいと思います。SaaSを契約して、1ヶ月使ってから考えても遅くありません。
初期に含めないもの
会計ソフトや販売管理との自動連携。入出庫の履歴をCSVで出せる画面は7画面に入っていますが、そこから先を自動でつなぐのは基幹システム連携にあたり、初期には含めていません。月1回CSVを取り込む運用で回ります。
仕入先への自動発注。発注点を下回ったら通知するところまでで止めています。発注そのものは人が判断して出す。仕入先ごとの発注単位や納期を持つ必要があり、在庫の業務が回ってから足すものです。
過去の入出庫履歴の全件移行。品目マスタは列が揃っていれば取り込めますが、何年分もの履歴を移すのは大規模なデータ移行にあたります。リリース日に棚卸をして、その実数を起点にすれば、履歴がなくても業務は回ります。移行で実際に時間がかかる場所は既存システムから乗り換えるときに書きました。
複数倉庫と倉庫間の移動。倉庫が2つになると、移動中の在庫がどちらにあるかという状態が増えて、画面が2〜3枚増えます。最初の8週間は1か所に絞り、回るようになってから広げます。
1年の費用と、自社の場合の画面数
ライトプランなら、初期50万円と月額20万円×12ヶ月で、1年目の合計は290万円(税別)です。月額には運用と保守に加えて、バーコード対応や絞り込み条件の追加のような改善が入ります。画面を数えて概算を出す手順そのものは業務システムの開発費用を、自分で見積もる方法に書いたので、自社の画面数で計算するならそちらが使えます。
ここに書いた7画面は想定例です。倉庫の数、ロット管理の有無、取引先が見るかどうかで枚数が変わります。受注と出荷を一体で作るなら、10画面を超えてスタンダードの範囲になることもあります。「在庫・入出庫」と「受発注」を両方選んだ場合の枚数は、費用シミュレーターでその場で出せます。
初回の相談が60分、そのあと3営業日以内に画面構成のラフと見積もりをお出しします。ここまで費用はいただきません。いまのExcel台帳と、紙の伝票を1枚、そのまま持ってきていただくのがいちばん早いです。既存のSaaSで足りると判断した場合は、そうお伝えします。
別の業務の例は、作れるものの例に画面単位で置いています。
よくあるご質問
在庫管理システムは、既存のSaaSと自社開発のどちらが安いですか?
品目と数を管理するだけなら、既存の在庫管理SaaSのほうが安く、早く始められます。自社で作る判断になるのは、入出庫が受注や製造や現場の報告と1つの流れになっていて、在庫だけを切り出せないときです。ロット、賞味期限、シリアル番号のように自社特有の単位で数えたい場合や、取引先が在庫を見る画面が要る場合も、既製の画面では窮屈になることが多いです。どれにも当てはまらないなら、私たちに頼む必要はありません。
バーコードリーダーは初期費用に含まれますか?
リーダーの機器そのものは含まれません。読み取りに対応する画面側の作りは、月額の改善の中で足すことが多いです。USB接続のリーダーは読み取った文字をキーボード入力として送るだけなので、品目コードの入力欄があれば、画面を大きく変えずに動きます。最初は手入力で始めて、1日の入出庫件数が増えてから足す順番をおすすめしています。
いまのExcel台帳のデータは引き継げますか?
品目マスタ(品目コード、品名、単位、発注点)は、列が揃っていれば初期データとして取り込めることが多いです。過去の入出庫の履歴まで全部を移すのは大規模なデータ移行にあたり、初期費用には含めていません。リリース日に棚卸をして実数を起点にすれば、過去の履歴を移さなくても業務は回ります。どこまで持っていくかは、画面構成のラフをお出しする段階で相談します。
作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。
初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。
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