開発中に「やっぱりこうしたい」が出たとき ── 仕様変更が追加費用になる線引き
2026.10.01 公開 / 2026.10.08 更新
先に書いておきます。仕様変更は悪ではありません。
むしろ、作って見ないと分からないことがある前提で8週間を組んでいます。W3からW6のあいだ毎週動く画面を見ていただくのは、そこで「違う」と言ってもらうためです。最初に決めた通りに作りきることが目的なら、毎週見せる必要はありません。
ただ、追加費用になる変更と、ならない変更があります。その線がどこにあるかを先に共有しておかないと、言い出しにくくなります。言い出しにくい状態が一番よくないので、線引きを書いておきます。
追加費用にならない変更
結論から言うと、作る量が増えない変更は費用が動きません。
- 画面の文言を変える(「登録」を「申込」にする、注意書きを足す)
- 入力項目の並びを入れ替える
- 色、ボタンの位置、文字の大きさを直す
- 一覧の検索条件をひとつ足す
- 必須だった項目を任意にする、逆に必須にする
- CSV出力の列を増やす、順番を変える
この手の変更は、正直に言うと毎週出ます。出ないほうが不安です。実際に触ってみて初めて「この並びだと現場が迷う」と分かるので、W4やW5で出てくるのが普通です。
これらを追加費用にしないのは、気前がいいからではありません。もともと初期費用の中に、この程度の調整が入る前提で見積もっているからです。見積もりの組み立て方はMVP開発の費用は、何で決まるのかに書きました。
追加費用になる変更
逆に、作る量そのものが増える変更は、見積もりを出し直します。
- 画面が増える(承認待ち一覧を足したい、管理者用の集計画面がほしい)
- 別の業務フローが乗る(受注の管理だけだったのに、在庫も見たい)
- 外部システムとの連携が増える(会計ソフトに自動で流したい)
- 使う人の種類が増える(社内だけの予定が、取引先にも開放したい)
- 権限の階層が深くなる(部署ごとに見える範囲を変えたい)
いちばん多いのは2つめです。作っている途中で隣の業務が見えてきて、「ついでに」となる。気持ちは分かりますし、その判断自体は正しいことが多いです。ただ、8週間の中には入りません。
ここで無理に詰め込むと、元々やりたかった業務のほうが雑になります。2ヶ月で何が入って何が入らないかは2ヶ月で作れるもの、作れないものにまとめました。
判断が割れるもの
線の上にある、判断が割れるものもあります。3つ挙げます。
ひとつめは、項目の追加です。フォームに項目を1つ足すだけなら吸収できます。ただ、その項目で一覧を絞り込みたい、集計したい、帳票に載せたいとなると、触る画面が増えます。「項目を足したい」と言われたら、こちらから「どこで使いますか」と聞き返すのはこのためです。
ふたつめは、通知です。メールを1本送るだけなら枠の中です。送信のタイミングが条件によって変わり、宛先も動的に決まる、という話になると設計が別物になります。
3つめは、過去データの扱いです。新しく入れるデータだけなら問題ありません。前のシステムやExcelから持ってくる話が出ると、量によっては別の作業になります。
どれも、その場で「これは枠の中です」「これは別見積もりになります」とお答えします。持ち帰って後から請求書に載せる、という形にはしません。
いつ言うかで、金額が変わる
同じ「画面を1つ足したい」でも、W2とW6ではかかる手間が違います。
| 時期 | 何が起きるか | 費用への影響 |
|---|---|---|
| W1〜W2 | まだ画面ラフの段階。線を引き直すだけで済む | ほぼ吸収できる |
| W3〜W5 | 動いている画面はあるが、データの持ち方は変えられる | 内容による |
| W6以降 | 周辺の画面とテストをやり直すことになる | 別見積もりになりやすい |
W6以降が高くつくのは、1つの画面が単独で存在していないからです。データの持ち方を変えると、それを読んでいる一覧も、検索も、CSVも影響を受けます。1画面のつもりが5画面になります。
なので、迷っている段階で言ってください。「まだ決まっていないけど、こうなるかもしれない」で構いません。可能性が分かっていれば、あとで変えやすい作り方を選べます。決まってから言われると、選び直しができません。
W3からW6に毎週画面を見ていただく時間は、このために取ってあります。発注側に週ごとにどれだけの時間が要るかは発注したあと、自分たちは何をするのかに目安を書きました。
月20時間の枠で、どこまで吸収できるか
リリース後の話もしておきます。月額には、運用保守に加えて改善のための稼働が月20時間分まで含まれます。
20時間で何ができるかというと、項目の追加や表示の調整なら数件、画面を1つ足すなら1件、といった規模です。帳票の様式変更やCSVの列の増減も、たいていこの枠に収まります。逆に、新しい業務フローを丸ごと足すのは20時間では終わりません。
枠を超えそうなときは、着手する前にご相談します。翌月に回すか、上位プランに変えるか、別見積もりにするかを一緒に決めます。黙って超過分を請求することはしません。何に何時間使ったかは毎月レポートでお出ししているので、残りの枠も見えている状態です。
リリース後に何にどれだけ時間がかかるかは、運用・保守の中身を項目ごとにのほうで分解しました。プランごとの月額は料金のページに出しています。
契約上はどう扱われるか
請負か準委任かで、変更の扱い方は変わります。ここはシステム開発の契約書で、発注側が読むべき5つの場所に書いたので、条文の読み方はそちらを見てください。
この記事で伝えたいのは、条文より手前の運用の話です。線引きを先に共有して、その場で判断を返す。それだけで、変更の相談がしやすくなります。
実際に多いのは、言い出せずに黙っていたケースです。W7になって「本当はこうしたかった」と出てくると、もう間に合いません。言いにくい雰囲気を作っているほうに問題があります。
変更の相談に費用はかかりません。「これって追加になりますか」だけ聞いていただければ、その場で答えます。迷ったら、迷った時点で投げてください。
よくあるご質問
開発の途中で仕様を変えたら、追加費用がかかりますか?
変更の種類によります。画面の文言、項目の並び、色、検索条件をひとつ足すといった変更は、設計の範囲内なので追加費用にはなりません。画面が増える、別の業務フローが乗る、外部システムとの連携が増える、といった変更は作る量そのものが増えるため、見積もりを出し直します。どちらに当たるかは、ご相談いただいた時点でその場でお答えします。
月額20万円の稼働枠で、どこまで対応してもらえますか?
月額には運用保守に加えて、改善のための稼働が月20時間分まで含まれます。項目の追加、画面の表示調整、帳票の様式変更、CSVの列の増減といった内容なら、この枠で収まることが多いです。何に何時間使ったかは毎月レポートでお出しします。枠を超えそうなときは着手前にご相談します。黙って超過分を請求することはしません。
変更を言い出すのが遅いと、なぜ費用が変わるのですか?
設計の段階なら、線を引き直すだけで済みます。W2までに出てきた変更は、ほとんどが設計の中で吸収できます。一方でW6以降は、すでに動いている画面とデータの持ち方を作り直すことになり、周辺の画面まで影響します。同じ内容の変更でも、言い出す時期によって必要な作業量が変わるためです。
作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。
初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。
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