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システム開発の社内稟議、何を書けば通るか ── 決裁者が見ている4点

2026.09.28 公開 / 2026.10.08 更新

現場は困っている。相見積もりも取った。それなのに稟議で止まる。実際の相談でいちばんよく聞くのが、この状態です。

止まる理由は、たいてい書いてある内容ではなく、書いていない内容のほうにあります。稟議書に「業務が非効率なので改善したい」と書いてあって、決裁者が知りたい4点が1つも書かれていない。この記事は、その4点を埋めるためのものです。

なお、これは社内の決裁者に渡す情報の話です。開発会社に渡す情報のほうは開発会社に相談する前に、決めておくと話が早い3つのことに別で書きました。中身が違うので、混ぜると両方が中途半端になります。

「必要です」は、稟議では理由になりません

現場から上がる稟議書には、困りごとが丁寧に書いてあります。転記に時間がかかる、ミスが起きる、月末が遅い。全部本当のことです。

ただ、決裁者の側から見ると判断の材料になりません。困っている業務は社内に20も30もあって、そのどれもが「必要」だからです。問われているのは必要かどうかではなく、今期の予算をここに割り当てるかどうか。典型的な落ち方を3つ挙げます。

落ち方稟議書に書いてあったこと決裁者が見つけられなかったこと
金額が判断できない開発費300万円(1社見積もり)その300万円が何で決まっているか
効果が読めない業務が効率化されるいま何時間かかっていて、何時間になるか
怖くて押せない2026年度中に導入失敗したときに、いくらで止まるか

1点目 ── 投資額に、根拠があるか

決裁者が稟議書で見ている4点。投資額の根拠、やらない場合のコスト、損失の上限、責任の所在
決裁者が稟議書で探している4点。どれかが欠けると、判断そのものが保留になります。

ここで見られているのは金額の高い安いではなく、その金額がどこから出てきたかです。「一式300万円」とだけ書かれた見積書では中身を確認できません。確認できないものには押せないので、差し戻しになります。分解するだけで通ることもあります。

項目金額(税別)何で決まっているか
初期費用50万円画面8枚(10画面以内のため最小プラン)
月額(12ヶ月)20万円 × 12運用保守+改善 月20時間分
1年目 合計290万円追加見積もりなし

金額が何で決まるかを説明できる形になっているかが、ここでの分かれ目です。人月で積まれた見積もりだと「4人 × 3ヶ月」の人数と月数が動いた瞬間に総額が動くので、決裁者としては上限を約束できません。そのあたりの構造はMVP開発の費用は、何で決まるのかに書きました。稟議の通りやすさだけで言えば、総額が動かない形のほうが有利です。

2点目 ── やらなかった場合、いくら失うか

ここが、いちばん抜け落ちます。

稟議書は「これをやりたい」から書き始めるので、やらない場合の話は自然には出てきません。ただ決裁者は、常に「今はやらない」という選択肢と比べています。書き方は単純で、いま人がやっている作業を時間に直すだけです。架空の想定例で出します。

いまの作業頻度1回あたり年間
受注データの転記週5日40分約163時間
月末の突合と修正月1回6時間72時間
「最新はどれ」の確認連絡週3回10分26時間
合計────約261時間

261時間を社内の時間単価3,000円で置くと、年間78万円です。3年で234万円。ここまで書いて初めて、290万円という数字と同じ土俵に乗ります。

ひとつ注意があります。削減時間をそのまま人件費削減と書くと、「では何人減らすのか」という別の話になります。人を減らす計画がないなら、「本来の業務に戻せる時間」として書いたほうが素直です。

3点目 ── 失敗したとき、損失はどこで止まるか

決裁者が押せない最大の理由は、金額の大きさではなく上限が見えないことです。途中で止めても支払いは発生し、しかも何も残らないことがある。そういう案件を見ている決裁者ほど慎重になります。だから、最悪の場合いくらで止まるかを書きます。

止めるタイミングそこまでの支払い手元に残るもの
ラフ・見積もりを見て断る0円画面構成のラフ
8週間で作って、使わないと判断50万円+月額2ヶ月分動くシステムと画面設計
12ヶ月の改善契約を満了290万円運用中のシステム

初回のお打ち合わせ60分と、3営業日以内に出すラフと見積もりまでは無料です。稟議に添付する資料を作る段階では、まだ支払いが発生していない。これは書いておくと効きます。

途中で止めたときの扱いは契約の形で変わります。請負か準委任か、検収の条件はどこか。システム開発の契約書で、発注側が読むべき5つの場所に読む場所を書いたので、稟議を出す前に一度当てておくと、決裁者に聞かれたときに答えられます。

4点目 ── 誰が責任を持つのか

金額の話ではなく、導入したあと社内で誰が面倒を見るのかという話です。稟議が通ったシステムが1年後に使われなくなる原因は、たいていここにあります。導入担当が異動した、運用の担当が決まっていなかった。決裁者はそれを見ているので、担当者名のない稟議書には慎重になります。

書くべきは3つです。導入を進める担当者。使い始めたあとの運用担当。範囲や仕様を最終的に決める人。3つが同じ人でも構いません。空欄でなければいい。

外注するなら、開発会社側の体制も併せて書きます。相談した相手が設計から運用まで担当するのか、途中で別の会社に渡るのか。ニカゲツは分業せず、下請けも使いません。窓口が変わらないことは、一行書く価値があります。

内製との比較を求められたら、社内システムは内製か外注かに4つの選択肢を1年総額で並べてあります。表をそのまま添付に使えます。

稟議書に貼れる比較表

4点を1枚にまとめると、こうなります。項目名だけ残して、自社の数字に置き換えてください。

観点今のまま続ける今回の提案
初期の支出0円50万円(税別)
年間の支出0円240万円(月20万円 × 12)
年間の作業時間約261時間約80時間(見込み)
時間を金額に直すと約78万円/年約24万円/年
最悪の場合の損失上限──90万円(2ヶ月で中止した場合)
効果の判断時期──リリース3ヶ月後の稼働レポート
社内の責任者(現状の担当)導入・運用・意思決定の3名

数字は架空の想定例です。時間と金額は自社のものに置き換えてください。大事なのは、左の列が空欄になっていないことです。「今のまま続ける」のコストが0円に見えているうちは、どんな提案も高く見えます。効果の判断時期を入れているのは、決裁者が押したあとに報告を求められる立場だからです。月次の稼働レポートは、そのまま添えられます。

落ちたときに、何を直すか

一度で通らないほうが普通です。落ちた理由がどれに当たるかで、直す場所が変わります。

金額が理由なら、範囲を削ります。画面を減らせば初期費用は下がり、1業務フローに絞ると効果も測りやすくなります。全部を一度に作らないのは、稟議の都合としても理にかなっています。

効果が読めないと言われたなら、2点目の表が弱い。時間の数え方が粗いか、単価の根拠がないかです。ここは経理に相談すると早く埋まります。

時期の問題で落ちたなら、書き直す必要はありません。次の期に同じ内容で出すほうが通ることがあります。理由が分からないまま戻ってきたときは、決裁者に直接聞いてください。

見積書と画面構成のラフは、初回のお打ち合わせから3営業日以内に無料でお出ししています。稟議に添付する資料がない段階でも、お問い合わせからご相談いただいて構いません。他社の見積もりと並べていただくのが前提です。

よくあるご質問

稟議書はどれくらいの分量で書けばいいですか?

A4で1枚に収めて、根拠になる見積書や画面構成のラフを添付にするのが通りやすいです。決裁者が本文で知りたいのは、いくら使うか、使わなかったらどうなるか、失敗したらどこで止まるか、誰が責任を持つかの4点だけです。機能の一覧や技術の説明を本文に書くと、判断に要らない情報で1枚が埋まってしまいます。詳しい内容は聞かれたときに添付で示せば足ります。

見積書は何社から取るべきですか?

社内規程で相見積もりの枚数が決まっていることが多いので、まず経理か総務に確認してください。規程がない場合でも2社は取っておくと、金額の妥当性を説明しやすくなります。ニカゲツでは初回のお打ち合わせ60分のあと、3営業日以内に画面構成のラフと見積もりを無料でお出ししています。他社の見積もりと並べて比べていただくのを前提にしているので、稟議の添付としてそのまま使っていただけます。

一度落ちた稟議は、もう出せませんか?

落ちた理由が「金額が大きい」「効果が読めない」であれば、範囲を削って出し直すのが現実的です。画面数を減らせば初期費用も下がりますし、1業務フローだけに絞ると効果の測り方もはっきりします。逆に「今はその順番ではない」という理由で落ちた場合は、時期の問題なので、次の期に同じ内容で出し直すほうが早いことがあります。落ちた理由を一行で書き留めておくと、次の稟議書の書き出しが決まります。

作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。

初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。

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