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現場がスマホで入力し続ける画面 ── 入力項目を減らす5つの判断

2026.10.29 公開

「現場の人に、毎日スマホで入れてもらいたいんです」。日報、点検、作業の記録。現場の業務をシステムにする相談では、ほぼ必ずこの一言が出てきます。

そして、いま使っている紙の様式を見せていただくと、欄が15個あります。日付、現場名、天気、作業者、開始時刻、終了時刻、点検の結果、作業内容、使った資材、数量、異常の内容、対応、写真の有無、備考、確認者の印。これをそのまま画面にすると、スマホを15回スクロールしながら埋める作業になります。

この記事は、その15欄をどう減らすかの話です。システムが使われなくなる原因そのものは作ったのに使われないシステムになる原因に、アプリで作るかWebで作るかはスマホアプリで作るか、Webで作るかに書いたので、ここでは入力画面の設計に絞ります。

1. 紙の欄からではなく、使い道から数える

最初にやるのは、紙の欄を1つずつ指さして「これは誰が、いつ、何に使っていますか」と聞くことです。

架空の想定例で続けます。空調設備の定期点検をしている会社の点検記録です。15欄を聞いていくと、天気は誰も見ていませんでした。確認者の印は、事務所で月末にまとめて押していた。写真の有無は、写真が添付されていれば分かる。開始時刻と終了時刻は、請求には使っておらず、作業時間の集計にも使っていなかった。

使い道に答えられない欄は、画面に持ってきません。紙の様式は何年もかけて欄が足されてきたもので、足した理由が残っていないことが多いです。ここで消すと、紙のときから誰も困っていなかったことが分かります。

2. 文字を打たせず、選ばせる

残った欄のうち、文字で書いていたものを選択式にできないかを見ます。点検の結果なら「異常なし」「要経過観察」「要修理」の3つのボタンにする。作業内容なら、よくある5〜7種類をボタンで並べて、最後に「その他」を置く。

スマホでは、ボタンを並べるほうが、プルダウンから選ぶより速いことが多いです。プルダウンは開いて、探して、閉じる3動作ですが、ボタンなら1回押せば済みます。毎回選ぶ項目ほど、ボタンにする価値があります。

数字を入れる欄は、数字のキーボードが出るようにします。日付や時刻は、開いた時点の値を最初から入れておきます。小さなことですが、1日に何度も入れる画面では、この差が積み上がります。

3. 書く代わりに、写真で済ませる

異常の内容を文章で書いてもらうのは、現場にとって一番重い作業です。立ったまま、片手で、手袋を外して書くことになります。

なので、異常があったら写真を撮って、一言だけ添える形にします。「ドレンの詰まり」くらいの一言で、事務所の人は写真を見れば状況が分かります。文章でうまく説明しようとするより、伝わる情報はむしろ増えます。

現場報告の想定例として公開している現場報告・案件共有のMVPでも、初期の入力は写真、コメント、対応状況の3つに絞る構成にしました。細かい項目は、入力が定着してから足すほうが確実です。

左に点検記録のスマホ入力画面の例。現場名は前回の値が入っていて、結果は3つのボタン、写真の追加と一言メモ、送信ボタン。右に入力項目を減らす5つの判断を並べた図
15欄の紙が、画面では現場が触る4か所になった想定例です。現場が入れるのは、その場でしか分からないことだけにします。

4. 前回の値を、最初から出しておく

点検や日報は、同じ現場、同じ設備、同じメンバーで繰り返すことが多い業務です。前回と同じ値を毎回打ってもらう必要はありません。

現場名、設備名、作業者は、前回の記録の値を最初から入れておきます。変わったところだけ直せば送れます。毎週同じ現場を回る人なら、現場名を選ぶ操作すらなくなります。

ただし、毎回測る値は扱いを変えます。温度や圧力、数量を前回の値のまま入れておくと、測らずに送っても記録が残ってしまうからです。こういう欄は空にしておき、横に前回の値を小さく表示します。大きく外れた値が入ったときだけ「前回は24でした。合っていますか」と出す、という作り方もできます。

5. 現場で埋めなくていい欄は、事務所が補う

最後は、紙にはなかったのに、システムにするなら入れておきたいと管理する側から出てくる欄です。請求の区分、取引先のコード、点検の種別、担当営業。記録としては要りますが、現場の人がその場で決める必要はありません。

こういう欄は、現場の入力画面から外して、事務所のPCの画面で補う形にします。現場は事実だけを入れ、分類や紐付けは事務所が翌朝まとめてやる。事務所の人は普段からその分類をしているので、PCで一覧を見ながらのほうが速く、正確です。

この分け方をすると、事務所側に「補う画面」が1つ増えることがあります。画面数の枠の中でどちらに1枚使うかの判断になりますが、現場の入力が続くことのほうを優先したほうが、結果として事務所の仕事も減るというケースが多いです。

5つを当てると、15欄はどうなるか

点検記録の想定例に当てはめると、こうなりました。

紙の欄画面での扱い判断
天気、確認者の印、写真の有無なくす1
開始時刻、終了時刻なくす(送信時刻を記録)1
日付、現場名、作業者最初から入っている4
点検の結果、作業内容ボタンで選ぶ2
異常の内容、対応写真と一言3
使った資材、数量よく使うものをボタン、数量は数字キー2
備考写真に添える一言と兼ねる3
(紙になかった)請求区分などの分類事務所の画面で補う5

現場が毎回触るのは、結果のボタン、作業内容のボタン、資材と数量、写真と一言の4か所です。異常がない日は写真も一言も要らないので、ボタンを押して数量を入れれば送れます。

できあがった画面は、実機で、実際の現場の条件で試します。屋外の明るさで画面が読めるか、手袋のまま押せる大きさか、片手で最後まで送れるか。紙で書いていた時間と比べて、短くなっているかを測ります。開発中は毎週動く画面をお出ししているので、そのうち1回は現場の人に実際の点検で使ってもらうのが確実です。週ごとの進め方は2ヶ月で作れるもの、作れないものにあります。

減らしすぎたら、あとで足せばいい

項目を減らす話をすると、事務所や管理する側から「あとで必要になったら困る」と言われます。もっともな心配です。

ただ、項目は足すほうが、減らすより簡単です。入力欄を1つ足すのは、多くの場合その場で済む規模の変更です。逆に、最初に15欄で始めて現場が入れなくなってから減らそうとすると、もう一度使ってもらうところからやり直しになります。項目の追加がどこまで追加費用なしで済むかは開発中に「やっぱりこうしたい」が出たときに書きました。

私たちの場合、リリース後12ヶ月は月額の改善期間なので、使い始めて1ヶ月の間に出た「この項目がないと困る」を、月額の稼働時間の中で足していきます。最初の画面は少なめに始めて、困った声が出たものだけを戻す。この順番のほうが、現場の入力は続きやすいと考えています。自社の業務がどのくらいの画面数になるかは、費用シミュレーターで日報・現場報告を選ぶと一覧で見られます。

よくあるご質問

スマホの入力画面は、項目を何個までにすればいいですか?

決まった数はありませんが、必須の項目は3〜5個に収まるように考えることが多いです。目安にしているのは個数より時間で、いま紙で書いている時間を超えないことです。紙で3分の記録なら、画面でも3分以内に送れるかを実機で測ります。超える場合は、選択式にする、前回の値を出す、事務所が補う欄に回す、のどれかで減らします。

選択式にすると、選択肢にない内容はどう入れますか?

選択肢の最後に「その他」を置き、選んだときだけ短いメモ欄が出るようにします。選択肢を最初から網羅しようとすると数が増えすぎて、かえって選びにくくなります。使い始めてから「その他」に何が書かれているかを月に一度見て、同じ内容が何度も出てくるものだけ選択肢に足していくほうが、現場の実態に合った並びになります。

前回の値を出しておくと、確認せずに送ってしまいませんか?

その心配はあります。なので、項目の性質で出し方を変えます。現場名や担当者のように前回と同じことが多い項目は、そのまま入れておきます。温度や数量のように毎回測る値は、入力欄を空にして、横に前回の値を薄く表示します。測った値が前回から大きく外れたときだけ確認の表示を出す、という作り方もできます。どの項目をどちらにするかは、実機で試しながら決めます。

作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。

初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。

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「範囲と進め方を決める」の記事はガイドの一覧にまとめています。全44本を3つのテーマに分けて並べました。