顧客管理を自社で作るか、SaaSを借りるか ── 人数×月額の合計と、作る判断になる条件
2026.10.20 公開
「営業が使う顧客管理、月額のサービスを入れるか迷っていて。1人いくら、で見積もりをもらったんですが、全員分だと結構な額になるんです」。顧客・案件管理の相談は、この一言から始まることがあります。
この記事では、借りる場合と作る場合の費用を同じ形の式に並べて、どこで分かれるかを書きます。特定の製品の名前や価格は出しません。料金表は年に何度も変わりますし、同じ製品でもプランによって使える機能が大きく違うからです。代わりに、手元の見積もりを当てはめれば答えが出る計算の形にしておきます。
借りる費用は、人数×月額×年数で増える
顧客管理のSaaSは、利用する人数で料金が決まる形が一般的です。式にするとこうなります。
借りる費用 = 利用人数 × 1人あたりの月額 × 12ヶ月 × 年数 + 初期設定やオプション
見落としやすいのは利用人数の数え方です。入力する営業だけでなく、案件の状況を見たい社長、見積を作る事務、受注後に動く工事や納品の担当。見るだけの人も1人として数える契約なら、人数は営業の2〜3倍になります。かといって見る人を減らすために「社長には印刷して渡す」という運用を始めると、Excelのころの転記が戻ってきます。
もう1つは年数です。借りる費用には終わりがありません。3年使えば3年分、5年使えば5年分が人数に比例して積み上がり、人が増えればその年から増えます。
作る費用は、人数ではなく画面の数で決まる
作る場合は、使う人の数ではなく画面の数で決まります。私たちの場合、顧客・案件管理を1業務フローで始めるならライトプランの範囲で、初期50万円+月額20万円×12ヶ月、1年目の合計は290万円(税別)です。使う人が10人でも30人でも、この金額は変わりません。
2つの式を、1年目の1人あたり月額にそろえて並べてみます。作る場合は「290万円 ÷ 12ヶ月 ÷ 利用人数」です。
| 利用人数 | 作る場合の1人あたり月額(1年目・税別) |
|---|---|
| 5人 | 約4万8千円 |
| 10人 | 約2万4千円 |
| 20人 | 約1万2千円 |
| 30人 | 約8千円 |
手元にあるSaaSの見積もりの1人あたり月額が、自社の人数の行より安ければ、1年目の費用では借りるほうが有利です。高ければ作るほうが有利です。人数が少ないほど作る側は不利になり、営業3人の会社に顧客管理を作ることは、私たちはおすすめしません。
2年目以降は事情が少し変わります。借りる側は同じ式のまま続きます。作る側は、改善の月額を続けるかどうかで変わります。私たちの契約は開発2ヶ月と改善12ヶ月の計14ヶ月が基本で、満了後は更新するか解約するかを選べます。解約してもコードとデータは手元に残りますが、動かし続ける費用と、直す人の手当ては別に要ります。作ったあとに何にお金がかかるかはシステムは作ったあとにお金がかかるに項目ごとに書きました。
作る場合の画面(架空の想定例)
架空の想定例です。従業員35名の設備工事会社で、営業6名が外回りで顧客を訪ね、事務3名が見積と受注後の手配をし、工事担当10名と役員2名が案件の進み具合を見たい。いまは顧客の一覧がExcel、対応の記録は営業それぞれの手帳とメール、案件の状況は週1回の営業会議で口頭で共有している。
これを画面にすると、ログイン、顧客一覧、顧客詳細・対応履歴、案件一覧、案件の登録・更新、訪問記録の入力の6画面です。顧客一覧は業種・担当・最後に連絡した日で絞り込み、顧客詳細には電話・訪問・メールの記録を時系列で残します。案件一覧には段階と見込み金額と次の予定日を出し、全員が見られるようにします。外回りの営業がいなければ訪問記録の入力がなくなって5画面。社外からの問い合わせをそのまま案件として受けるフォームを足しても7画面で、1業務フローのままライトの範囲に収まります。
この会社で使う人は21人なので、上の式では1人あたり月約1万1,500円です。
画面の中で見てほしいのは訪問記録の入力です。外回りの営業が使い続けるかどうかは、この1枚で決まります。訪問先の駐車場で1分以内に入れ終われるか。項目は「誰に会ったか」「結果」「次にやること」の3つまでに絞ります。顧客管理の入力が続かない原因は、項目の多さであることが多いと考えています。
作る判断になる条件
費用の式で作るほうが有利に出ても、それだけで作る理由にはなりません。私たちが作る判断をするのは、次のどれかに当たる場合です。
ひとつめは、見る人が多く、入力する人が少ないこと。上の例は入力する人が6人で、見る人が15人です。人数で課金される形だと、見るだけの15人の分が費用の大半を占めます。作る場合は、何人に見せても金額は同じです。
ふたつめは、案件の段階ごとに入れる項目が違うこと。段階の名前を「現地調査」「見積提出」「受注」「着工」「完工」に変えるだけなら、借りるほうでも設定でできることが多いです。困るのは、現地調査では写真と寸法、見積提出では金額と有効期限、着工では工事担当と日程、というように段階ごとに中身が変わる場合です。既製の項目に寄せると、現場が入れなくなります。
みっつめは、顧客の情報を他の業務と同じデータで使いたいこと。顧客管理だけを借りると、見積は別のソフト、請求はまた別、という形になり、顧客名を3回入れることになります。いずれ見積や日報と同じ画面の中でつなげたいなら、最初から自社のデータとして持っておくほうが後で楽です。
どれにも当たらないなら、借りてください。
借りるほうが合う条件
営業のやり方そのものがまだ決まっていない会社は、借りるほうが合います。既製の段階や項目に一度乗ってみると、自社に要るものと要らないものが見えてきます。社内の担当者が設定を変えられるうちは、そのほうが速い。この線引きはノーコードで作るか、開発するかで業務の形ごとに書きました。
メール配信、名刺の取り込み、売上見込みの分析といった周辺の機能まで使いたい場合も、借りるほうです。私たちが8週間で作るのは上の5〜6画面で、周辺の機能を一通りそろえることはしません。顧客管理に求めるものが広いほど、既製のほうが厚くなります。
借りて1年使ってから作る順番もあります。そのときに困らないよう、顧客と対応履歴をCSVで全件出せるかを契約前に確かめておいてください。移すときに時間がかかるのは変換ではなく、同じ会社が表記ゆれで3件に分かれているのを寄せる判断のほうで、その話は既存システムから乗り換えるときに書いたとおりです。
自社の数字で並べる手順
まず利用人数を、入力する人と見るだけの人に分けて数えます。次に、手元のSaaSの見積もりを3年分に直します。人が増える予定があるなら、その年から増やしておきます。
作る側は画面を数えます。費用シミュレーターで顧客・案件管理を選ぶと、画面の一覧と該当するプランがその場で出ます。外回りがいるなら「現場・倉庫・外回りの人」を選ぶと、訪問記録の画面が足されます。自分で数える手順は業務システムの開発費用を、自分で見積もる方法にあります。
最後に、両方を1年目の1人あたり月額にそろえて並べます。差が小さいなら、費用ではなく上の3つの条件で決めてください。自社の場合が何画面になるかは、初回お打ち合わせ(60分・オンライン可)のあと3営業日以内に画面構成のラフでお出しします。ここまで費用はいただきません。手元にSaaSの見積書があれば、ラフと並べて見るのがいちばん早いです。
よくあるご質問
顧客管理システムは、SaaSを借りるのと自社で作るのとどちらが安いですか?
使う人数で決まります。借りる費用は利用人数×1人あたり月額×年数で増え、作る費用は人数では変わりません。ニカゲツのライトプランなら1年目は290万円(税別)なので、これを12ヶ月と利用人数で割った額が、借りる場合の1人あたり月額と並ぶ分かれ目です。5人なら約4万8千円、20人なら約1万2千円になります。人数が少ないほど、借りるほうが有利です。
顧客・案件管理を作ると、何画面くらいになりますか?
ログイン、顧客一覧、顧客詳細・対応履歴、案件一覧、案件の登録・更新の5画面が基本です。外回りの営業がいるなら、スマホから入れる訪問記録の入力が加わって6画面になります。社外からの問い合わせを案件として受けるフォームを足しても7画面で、1業務フローのままライトプラン(初期50万円・税別)の範囲に収まります。
SaaSの顧客管理で始めて、あとから作り直すことはできますか?
できます。営業のやり方がまだ固まっていないなら、先に借りて1年使ってから作るほうが、画面が少なく済むことがあります。そのときに困らないよう、顧客と対応履歴をCSVで全件出せるかを契約前に確かめておいてください。移すときに時間がかかるのは変換の作業より、同じ会社が表記ゆれで複数件に分かれているのを寄せる判断のほうです。
作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。
初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。
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