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社内システムの発注担当になったら ── 最初の2週間でやること

2026.10.22 公開

「来期から、社内のシステムの件は君に任せるから」。総務や経理、営業事務の方が、ある日こう言われて相談に来られることがあります。前任はいない。情報システムの部署もない。何から手をつければいいか分からない、と。

この記事は、任されてから最初の2週間の動き方です。開発会社に渡す情報の中身は開発会社に相談する前に、決めておくと話が早い3つのことに、社内の稟議の書き方はシステム開発の社内稟議、何を書けば通るかに別で書いたので、ここでは「どの順番で、誰に会って、2週間後に何を手元に持っているか」に絞ります。

社内システムの発注担当が最初の2週間でやる5つのことを、日程と手元に残るものと一緒に並べた図
10営業日の目安です。2週間後に手元に残るものを右に置きました。
時期やること手元に残るもの
1〜2日目任された範囲と、決裁者・予算の幅を確かめる決裁者の名前と、予算の上限の感覚
3〜5日目現場で、今の業務の流れを1件ずつ追う流れのメモと、帳票やExcelの実物
6〜8日目困っていることを集めて、1つに絞る困りごとの一覧と、最初に手をつける業務
9日目社内の窓口と、決める人を決める窓口と、部署ごとの相談相手の名前
10日目開発会社2〜3社に最初の相談をする送った一通目と、返ってきた返事

最初の2日で、決裁者と予算の幅を確かめる

現場に行く前に、上に聞くことがあります。誰がこの話を言い出したのか。なぜ今なのか。決裁するのは誰か。予算はいくらを超えると稟議の形が変わるか。期限はあるか。

順番を逆にしないでください。社長が「営業の数字が見えない」と思って言い出した話なのに、担当者が現場の声を集めると「経費精算が面倒」が一番に上がってきます。どちらも本当の困りごとですが、決裁者が見たいものと違う提案は、稟議で止まります。

予算は決まっていないのが普通です。そのときは「いくらなら社長に直接相談できて、いくらを超えると取締役会か」と聞いてください。上限の感覚が1つあるだけで、2週目に開発会社へ伝えられることが変わります。

現場で、今の業務の流れを見る

3日目からは現場に行きます。会議室で聞くのではなく、その業務をしている人の隣に半日座ってください。

見るのは1件の流れです。注文なら、FAXが届いてから請求書が出るまで。申請なら、申請書を書いてから経理が支払うまで。1件を最初から最後まで追うと、誰の手を何回通っているか、どこで紙からExcelへ打ち直しているか、どこで人を待っているかが見えます。使っている帳票とExcelは、実物をコピーでもらっておきます。開発会社との最初の打ち合わせで、いちばん役に立つのはこの実物です。

隣に座っていると「この列は誰が見ているんですか」と聞けます。誰も見ていない列が出てくることがあります。それも、作らなくていいものとして書き留めておきます。

困っていることを集めて、1つに絞る

困りごとを聞くときは「何に困っていますか」と聞かないほうがいいです。この聞き方だと、欲しい機能の話が返ってきます。代わりに「昨日いちばん時間を取られた作業は何でしたか」と聞きます。答えが具体的な作業になり、頻度と時間が一緒に出てきます。

集めたものは、誰が、どの作業で、週に何回、1回何分、と並べます。並べると、毎日起きていて何人もが触っている作業が上に来ます。その中から最初に手をつける業務を1つ選びます。選び方の基準は複数の業務があるとき、最初の8週間にどれを入れるかに書きました。全部を一度に、と言われたときの返し方もそちらにあります。

社内の窓口と、決める人を決める

9日目に決めておきたいのが、社内の窓口です。多くの場合は担当になったあなた自身です。そのうえで、決める人を別に置くかどうかを決めます。窓口は開発会社からの質問を受けて社内に回す人、決める人は意見が割れたときに最後に決める人です。同じ人でも構いませんが、決める人が誰なのかは名前で決めておいてください。

あわせて、関わる部署ごとに相談相手を1人ずつ決めます。営業なら誰、倉庫なら誰。開発が始まると、画面を見て「この項目は要る、要らない」を判断する場面が週に何度も来ます。そのたびに部署の全員に聞いていると止まります。契約後に担当者の負担がどれくらいになるかは発注したあと、自分たちは何をするのかに週ごとの時間で書きました。

2週目の終わりに、開発会社へ最初の相談をする

10日目には、開発会社2〜3社に同じ内容で最初の連絡を入れます。ここまでで、困っている業務が1つ、使う人とその人数、期限の有無、予算の上限の感覚、今使っているExcelや帳票がそろっているはずです。それをそのまま書けば、一通目になります。書き方は開発会社への最初の一通に、何を書くかにあります。

連絡を入れる前に、どのくらいの規模になりそうかを見ておきたいなら、費用シミュレーターで業務と使う人を選ぶと、画面の数と該当するプランが出ます。桁が分かっていると、返ってきた見積もりを読みやすくなります。

私たちの場合、初回お打ち合わせは60分(オンライン可)で、そのあと3営業日以内に画面構成のラフとお見積りをお出しします。ここまで費用はかかりません。2週間で集めた帳票の実物と困りごとの一覧を、そのまま持ってきてください。

この2週間で、やらなくていいこと

仕様書は書かなくていいです。急に任された方ほど、まず仕様書を作ろうとされますが、業務を知っているのは発注側で、画面に落とすのは開発会社の仕事です。最初に書いた仕様書は、初回の打ち合わせで作り直しになることが多いです。

機能の一覧も要りません。「検索機能、通知機能、CSV出力」と並べても、どの業務のためかが書いていなければ画面になりません。ツールや開発会社の比較表を2週間で作り込む必要もありません。比べるのは、同じ一通に対して返ってきた返事の中身で十分です。全部の部署の要望を聞き終えるのも、この2週間の仕事ではありません。1つの業務に絞ったのですから、そこに関わる人の話を聞けば足ります。

よくあるご質問

社内システムの発注担当になったら、最初に何をすればいいですか?

最初の1〜2日で、誰がなぜこの話を言い出したのか、決裁するのは誰か、予算はいくらを超えると稟議の形が変わるか、期限はあるかを確かめてください。ここが曖昧なまま現場の要望を集めると、集めた内容が決裁者の考えと合わず、やり直しになります。そのあとで現場に行き、今の業務の流れを1件ずつ追います。仕様書や機能の一覧は、この段階では要りません。

ITに詳しくなくても、発注担当は務まりますか?

務まります。発注担当に求められるのは技術の知識より、今の業務がどう流れていて、どこで時間とミスが出ているかを知っていることです。画面に落とすのは開発会社の仕事なので、専門用語は要りません。むしろ毎日その業務を触っている方のほうが、開発会社からの質問に早く答えられます。決裁が要る判断だけ、上に上げる形にしておけば十分です。

開発会社には、いつ相談すればいいですか?

困っている業務を1つに絞れた時点で相談して構いません。目安は任されてから2週目の終わりです。同じ内容を2〜3社に送ると、返事の違いで比較ができます。ニカゲツの場合、初回お打ち合わせ(60分・オンライン可)のあと3営業日以内に画面構成のラフとお見積りをお出しし、ここまで費用はかかりません。予算が決まっていない段階でも相談できます。

作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。

初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。

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「発注の準備をする」の記事はガイドの一覧にまとめています。全42本を3つのテーマに分けて並べました。