工数管理システムの開発費用 ── 案件×人×時間を記録する画面構成と、勤怠と分ける判断
2026.10.17 公開
「この案件、結局いくらかかったのか、引き渡してからでないと分からないんです」。工数管理の相談は、たいていこの一言からです。見積もりでは利益が出る計算だったのに、手戻りで時間が倍かかっていた。それが分かるのは月末の集計のあとです。
案件ごと・人ごとに作業時間を記録して原価を見る仕組みを自社で作ると、何画面でいくらになるか。受発注システムの開発費用と同じ型で、画面を数えるところから書きます。ここに出す会社も数字も、架空の想定例です。
画面を数える(架空の想定例)
従業員25名の建築設計事務所で、動いている案件は常時40件ほど。設計者20名が複数の案件を掛け持ちしている、とします。いまは各自がExcelの週報に案件名と時間を書き、月末に事務の1人が全員分を集めて案件別に足し上げ、人ごとの時間単価を掛けて原価を出している。集計には毎月3日かかります。
| 画面 | 誰が使うか | やること | |
|---|---|---|---|
| 01 | ログイン | 全員 | 役割ごとに見える画面を変える |
| 02 | 工数の入力 | 設計者 | 日付ごとに案件と作業区分を選び、時間を入れる |
| 03 | 自分の工数一覧 | 設計者 | 週ごとの入力状況と、入れ忘れた日を見る |
| 04 | 案件一覧 | 所長・案件担当 | 予算の時間と実績の時間、消化の割合を並べる |
| 05 | 案件の工数内訳 | 所長・案件担当 | 人別・作業区分別の時間と原価を見る |
| 06 | 案件マスタ | 事務 | 受注金額、予算の時間、期間、状態を登録する |
| 07 | 社員・時間単価マスタ | 管理者 | 所属と時間単価、作業区分を設定する |
| 08 | 月次の集計・CSV出力 | 事務・経理 | 案件別の原価と人別の稼働を月で締めて出す |
ログインを1画面と数えて、8画面です。工数を記録して原価を見るという1業務フローなので、ライトプラン(初期50万円・税別、開発稼働最大50時間、月額20万円)の範囲に収まります。
07の時間単価は、給与に近い情報です。案件担当には時間だけ、単価を掛けた原価は所長と経理にだけ見せる、と最初に決めておきます。枚数は変わらず、05の中身が役割で変わります。
入力が続くかどうかは、2枚で決まる
設計者が触るのは02と03の2枚だけで、工数管理がうまくいくかはほぼこの2枚で決まります。元の入力が抜けていれば、集計の画面がどれだけよくても数字は合いません。
02で決めるのは、時間の刻みと作業区分の数です。刻みは15分か30分。作業区分は、打ち合わせ、設計、図面修正、申請、現場確認くらいの5つ前後に収めます。区分が10を超えると、どれを選ぶかで迷う時間が入力そのものより長くなり、全員が「その他」を選び始めます。細かく分けたいのは集計する側の都合なので、粗く始めて3ヶ月後に割るほうが収まりがいい。
03は、入力する人のための画面です。自分が今週どの案件に何時間使ったか、どの日を入れ忘れているか。集計のための入力が「上のための作業」にならないよう、入れた本人に何かが返る画面を1枚入れておきます。入れ忘れた日に翌朝届く通知は、画面ではないので枚数に数えていません。
Excelの週報のままで踏みとどまれる段階かどうかは、Excelでの管理は、どこまでが限界かの4つのサインで見られます。集計担当が1人で、その人が休むと月次が出ない状態なら、すでに越えています。
勤怠と一緒にするか、分けるか
「どうせ毎日入れるなら、出勤と退勤も一緒に」という話は、ほぼ必ず出ます。入力が1回で済むので、気持ちはよく分かります。
ただ、勤怠と工数は似て見えて、決めることの重さが違います。工数は「何に時間を使ったか」で、使い道は原価の把握です。入れ忘れがあっても、月次が少しずれるだけです。勤怠は「何時から何時まで働いたか」で、給与計算につながり、労働時間の記録として法令上の扱いもあります。残業や休暇まで含めると、就業規則に合わせて決めることが一気に増えます。項目の決め方は、社労士などの専門家に確認してください(2026年10月時点の一般的な理解として書いています)。
想定例に勤怠を足すと、出退勤の打刻、勤怠の月次一覧と締め、休暇の申請、承認待ち一覧と承認の4画面が増えて12画面になります。しかも勤怠は工数とは別の業務フローなので、2業務フローです。この場合はスタンダードプラン(初期100万円・税別、月額20万円〜)のほうが実態に合います。
私たちのおすすめは、勤怠をすでに既存の勤怠サービスやタイムカードで回しているなら、そちらはそのままにして工数だけを作ることです。月に1回、勤怠のデータをCSVで取り込み、1日の勤務時間と工数の合計の差を08の集計に並べる。差が大きい日を見るだけで、工数の入れ忘れはかなり拾えます。一緒にするのは、勤怠がまだ紙で、人数が少なく、給与計算の手前までを画面にしたいという場合で、そのときは最初から2業務フローとして数えます。
工数管理SaaSを借りる場合
工数管理のSaaSは複数あり、利用者1人あたりの月額で課金されるものが多いです。案件と作業区分を選んで時間を入れ、標準の集計表で案件別の時間と原価が見られれば足りる。この形で困らないなら、借りたほうが早くて安い。私たちに頼む必要はありません。
作る判断になるのは、次のどれかに当たる場合です。ひとつは、時間以外の原価と合わせて見たいとき。外注費や材料費と工数を足して、案件の粗利をその場で見たいなら、お金の情報まで同じデータで持つ必要があります。ふたつめは、案件のデータがすでに自社の別の台帳にあるとき。SaaS側にも案件を登録し直すと、案件が増えるたびに二重登録になります。3つめは、写真つきの作業報告のついでに時間も入れたいとき。これは工数専用の画面には収まりにくいです。
ノーコードの道具で組む選択肢もあり、どこまでで済むかはノーコードで作るか、開発するかに業務の形で線を引きました。工数管理は、時間単価を人によって見せ分けたいあたりから、ノーコードの設定が込み入ってくることが多いです。
初期に含めないもの
給与計算ソフトや会計ソフトとの自動連携は、初期に含めていません。08の画面からCSVで出して取り込む形で、月次は十分に回ります。工数の上長承認も、最初は入れません。週ごとに上長が確認して締める運用は、1段階なら月額の改善の中で足せることが多いものの、まずは入力が揃うかを1〜2ヶ月見てからです。何年分もの過去の週報を案件ごとに整え直して移すのも、大規模なデータ移行にあたるので初期には入れません。
1年の費用と、自社の場合の画面数
工数だけを作るなら、ライトプランで初期50万円と月額20万円×12ヶ月、1年目の合計は290万円(税別)です。勤怠も入れてスタンダードにすると、初期100万円と月額20万円〜×12ヶ月で、340万円(税別)からになります。月額には運用保守と、作業区分の見直しのような改善が月20時間分まで入ります。
いま払っているほうは、想定例なら事務の集計が月24時間、20名の週報が月20時間ほどです。ただ、工数管理で効くのは時間の削減より、赤字になりかけた案件に月の途中で気づけることだと考えています。自社の件数と時間で置き換えて計算する手順は業務システムの開発費用を、自分で見積もる方法に書きました。
費用シミュレーターには工数管理という業務がないので、いちばん近い「日報・現場報告」を選び、現場の人が入力する形にした状態で開くリンクを置いておきます。日報・現場報告を選んだ費用シミュレーターで出るのは報告の入力と一覧を中心にした6画面です。画面の名前はこの記事と違いますが、入力する人と集計する人に分かれる構成と、ライトに収まるかの見当はつきます。
自社の場合の画面数は、初回お打ち合わせ(60分・オンライン可)のあと3営業日以内に画面構成のラフでお出しします。ここまで費用はいただきません。週報のExcelと月末の集計表があれば話が早いです。借りたほうがいいと判断した場合は、そうお伝えします。
よくあるご質問
工数管理システムを自社で作ると、費用はいくらくらいですか?
工数の入力、案件ごとの予算と実績、人別の内訳、マスタ、月次の集計という構成なら8画面前後で、1業務フローに収まります。ニカゲツではライトプラン(初期50万円・税別、月額20万円)の範囲で、1年目の合計は290万円(税別)です。勤怠管理も同じ仕組みに入れると12画面前後で2業務フローになり、スタンダードプラン(初期100万円・税別)のほうが実態に合います。
勤怠管理と工数管理は、1つのシステムにしたほうが便利ではありませんか?
入力が1回で済むのは確かに便利です。ただ、勤怠は給与計算につながり、労働時間の記録として法令上の扱いもあるため、決めることの重さが工数とは違います。勤怠をすでに既存のサービスやタイムカードで回しているなら、そちらはそのままにして工数だけを作り、月に1回、勤怠のCSVを取り込んで勤務時間と工数の合計の差を見る形で始めることをおすすめしています。
工数管理のSaaSを借りるのと、作るのはどちらがよいですか?
案件と作業区分を選んで時間を入れ、標準の集計表で原価が見られれば足りるなら、借りたほうが早くて安いです。作る判断になるのは、外注費や材料費と合わせて案件の粗利まで同じ画面で見たい、案件のデータがすでに別の台帳にあって二重登録になる、現場の報告と工数を一度に入れたい、のどれかに当たる場合です。どれにも当たらなければ、私たちに頼む必要はありません。
作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。
初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。
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