受発注システムの開発費用 ── 電話・FAX・メールの注文を、8画面にする想定例
2026.10.07 公開 / 2026.10.08 更新
「注文は、だいたいFAXで来ます。それを事務がExcelに打ち直して、出荷の指示書を印刷して倉庫に渡して、月末にまとめて請求書を作っています」。受発注の相談は、だいたいこの形で始まります。電話とメールも混ざっていて、どこに何が来たかを把握しているのは事務の1人か2人。
この状態を画面にすると何枚になって、いくらかかるか。予約システムについて同じ型で書いた予約システムの開発費用の、受発注版です。
ここに出す会社も数字も架空の想定例です。実際の枚数は、取引先の数と単価の決まり方で変わります。
先に、借りるかどうかを決める
受発注の画面を持つサービスは、月額で借りられるものが複数あります。取引先に発注画面を使ってもらい、自社は受けた注文を一覧で見る。この形で困っていないなら、借りたほうが早くて安い。私たちに頼む必要はありません。
作る判断になるのは、だいたい次のどれかに当たる場合です。
- 取引先ごとに単価や納品ルールが違い、既製の画面に収まらない
- 注文を受けたあとの出荷指示や請求まで、同じデータで流したい
- 取引先にFAXをやめてもらえない(やめてもらう予定もない)
3つ目は軽く見られがちですが、実際にはいちばん効きます。取引先に画面を使ってもらう前提のサービスは、取引先が使わなければ始まりません。60社のうち10社しか移らなければ、残り50社分は今までどおりで、二重管理が増えるだけです。
架空の想定例 ── 業務用資材の卸、取引先60社
従業員20名の業務用資材の卸で、取引先が60社。注文は1日に30件ほどで、FAXが6割、電話が3割、メールが1割。事務2名が受けた注文をExcelの受注表に入力し、出荷指示書をWordで作って印刷して倉庫に渡し、月末に取引先ごとの請求書をExcelで作っている。
ここで決めるべきことが1つあります。取引先に画面を使ってもらうか、社内だけで使うかです。
私たちなら、最初の8週間は社内だけにします。FAXと電話が9割を占めている状態で取引先向けの発注画面を作っても、使われるのは1割のメール組だけです。まず事務が受けた注文を画面に入れる形にして、転記と印刷と突き合わせを消す。取引先向けの画面は、社内の流れが回ってからです。
| 画面 | いま何でやっているか | 誰が使うか | |
|---|---|---|---|
| 01 | ログイン | ── | 全員 |
| 02 | 注文の登録 | FAX・電話を見てExcelに入力 | 事務 |
| 03 | 注文の一覧 | Excelの受注表 | 事務・営業・倉庫 |
| 04 | 注文の詳細・状態更新 | 受注表の備考欄と口頭 | 事務・倉庫 |
| 05 | 出荷指示の一覧・印刷 | 指示書をWordで作って印刷 | 倉庫 |
| 06 | 取引先マスタ | 取引先一覧のExcel | 事務 |
| 07 | 商品・単価マスタ | 価格表のExcelと担当者の記憶 | 事務・営業 |
| 08 | 月次の請求データ出力(CSV) | 月末に受注表から手で集計 | 事務・経理 |
8画面です。
見てほしいのは07です。受発注の画面で作る量がいちばん読めないのが単価で、「A社は掛率で、B社は個別単価で、C社は数量で段階が変わる」という状態だと、この1枚の中身が膨らみます。単価の決まり方が3種類を超えるなら、最初は自動計算を載せず、入力時に手で単価を打つ形から始めるほうが収まりがいい。
状態をどう持つか
受発注の画面で、費用より先に決めておきたいのが注文の「状態」です。受付、出荷指示済、出荷済、請求済。この4つの想定で作りますが、会社によっては「入荷待ち」「一部出荷」が要ります。
状態が増えても画面は増えません。増えるのは、一覧の絞り込みと、状態を進める操作の分岐です。ここは初回の打ち合わせで、いまのExcelの受注表にどんな色や記号が付いているかを見せてもらうのが早いです。色分けが、そのまま状態です。
地味ですが、ここで決めた状態の数が、あとの使いやすさをほぼ決めます。
ライトか、スタンダードか
上の8画面は1業務フローなので、ライトプラン(初期50万円・税別、開発稼働最大50時間、月額20万円)の範囲です。
スタンダードになるのは、取引先向けの画面を最初から入れる場合です。取引先のログイン、発注フォーム、自社の注文履歴。この3枚が乗ると11画面で、しかも「社外の人が使う」という別の業務フローになります。社外の人が使う画面は、入力の説明、パスワードの再設定、間違えたときの取り消しといった、社内なら口頭で済むことを全部画面に載せる必要があり、1枚あたりの手間も上がります。初期100万円・税別のスタンダードのほうが実態に合います。
取引先側と社内側を一体で作った場合の7画面の構成は取引先ポータルのMVPに置いてあります。あちらは取引先にも画面を使ってもらう前提なので、FAXが主体で取引先が画面に移らない会社にはそのまま当てはまりませんが、社外向けの画面がどんな形になるかは分かります。
初期に入れないもの
在庫の引き当て、会計ソフトへの自動連携、請求書PDFの自動発行、承認ルート。この4つは最初の8週間に入れていません。
在庫の引き当ては、受注と在庫のつなぎ目の設計が要るので、受注が画面で回ってから決めます。受注・在庫・請求が全部挙がったときに、どれから入れるかの決め方は複数の業務があるとき、最初の8週間にどれを入れるかに書きました。会計ソフト連携は、連携先の仕様に工数が左右されるため初期の範囲外にしています。代わりに08のCSVを会計ソフトや請求書ソフトに取り込む形で、最初の数か月は十分に回ることが多いです。
請求書のPDF発行はよく求められますが、取引先ごとに様式の指定があると、その様式の数だけ調整が要ります。既存の請求書ソフトにCSVを渡すほうが、8週間の中では安全です。
いまのExcelにある取引先60社と商品のデータは、列が揃っていれば初期データとして入れられます。ただし過去の注文履歴まで全部持ってくるかは別の話で、データ移行で実際に時間がかかるところに書いたとおり、決める時間のほうが長くなります。
1年の費用と、いま払っているもの
ライトなら初期50万円+月額20万円×12ヶ月で、1年目の合計は290万円(税別)です。月額には運用保守と、月20時間分の改善が入ります。受発注は使い始めてから「この列も一覧に出したい」「この取引先だけ納品書の形が違う」が出るので、この枠は使い切る前提で考えたほうがいいと思います。開発中の8週間に同じ話が出たときに、どこから追加費用になるかは仕様変更が追加費用になる線引きに書きました。
いま払っているもののほうも、想定例で並べます。1日30件の注文をExcelに転記して指示書を印刷するのに1件5分なら、1日2.5時間。月に約50時間です。月末の請求の突き合わせが2名で2日なら、さらに32時間。合計で月80時間前後を、転記と突き合わせに使っている計算になります。この数字は想定例なので、自社の場合は実際の件数と時間で置き換える必要があります。置き換えた数字がここから大きく下回るなら、まだExcelでいい段階です。判断の目安はExcelでの管理は、どこまでが限界かに書きました。
費用を自分で概算する手順は業務システムの開発費用を、自分で見積もる方法にあるので、8画面という数字を自社の枚数に置き換えれば、桁は出せます。
向かない場合
正直に書いておきます。基幹システムの受注モジュールをすでに使っていて、その一部だけを使いやすくしたい、という相談は私たちには向きません。既存システムとの連携が前提になり、初期の範囲に収まらないからです。
取引先からの注文がEDIで来る比率が高い場合も、EDIの受信部分は初期に含めないので、そこは手動の取り込みが残ります。それでいいかどうかは、注文の内訳次第です。
取引先向けの画面を足すかどうかで枚数がどう変わるかは、費用シミュレーターで「受発注」を選ぶと確かめられます。
自社の場合が何画面になるかは、初回お打ち合わせ(60分・オンライン可)のあと、3営業日以内に画面構成のラフでお出しします。ここまで費用はいただきません。いまのExcelの受注表と、FAXの注文書を1枚、そのまま見せていただくのがいちばん早いです。プランの違いは料金のページにあります。
よくあるご質問
受発注システムを自社で作ると、費用はいくらくらいですか?
社内で注文を受けて出荷指示と請求まで流す構成なら、8画面前後で1業務フローに収まることが多く、ニカゲツのライトプラン(初期50万円・税別、月額20万円)の範囲です。1年目の合計は290万円(税別)になります。取引先に発注画面を使ってもらう形を最初から入れると11画面前後で社外向けの業務フローが加わるため、スタンダードプラン(初期100万円・税別)のほうが実態に合います。
既存の受発注サービスを借りるのと、作るのはどちらがよいですか?
取引先に発注画面を使ってもらい、受けた注文を一覧で見るだけで困っていないなら、借りたほうが早くて安いです。作る判断になるのは、取引先ごとに単価や納品ルールが違って既製の画面に収まらない、注文のあとの出荷指示や請求まで同じデータで流したい、取引先にFAXをやめてもらえない、のどれかに当たる場合です。3つ目が、実際にはいちばん効きます。
取引先が自分で注文を入力する画面は、最初から作れますか?
作れますが、FAXと電話が注文の大半を占めている会社では、最初の8週間は社内向けだけにすることをおすすめしています。取引先向けの画面を作っても、使うのがメール組の1割だけなら、残りの9割は今までどおり事務が入力することになるからです。取引先向けの画面は、社内の流れが安定してから月額の改善フェーズか上位プランで足す順番のほうが、定着しやすいと考えています。
作りたいものを、
ひとつだけ持ってきてください。
初回お打ち合わせは60分・オンライン可。画面構成のラフとお見積りまで費用はいただきません。
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